こんにちは。
京王・小田急多摩センター駅から徒歩2分のビルで鍼灸マッサージ院を開業している杉崎とも江治療室 副院長の杉崎 徹です。
今回は、老若男女を問わずお悩みが多い便秘についてのお話です。
いわゆる標準治療で改善している方であれば余り参考にならないかも知れません。タイトルの通り、今回は正攻法では治らないパターンの改善例をご紹介したいと思います。
キーワードは【引っぺがす】です。
ー 週に1度しかお通時がこない
20代女性 Uさん
頭痛、肩コリ、腰痛、足のむくみなどなど、現代病と言われる症状をぜんぶ抱えるUさん。
中でも一番の悩みは【便秘】
お酒やタバコを避け、正しい食事と睡眠、ストレッチや『のの字マッサージ』を毎日実践していますが、一向に出ない。
長年服用してきた処方薬は耐性がついてしまい効果が薄く、漢方や生薬はピーピーが止まらなくなってしまう。有名な鍼灸院で治療を続けても、全然出ない。
『良いと言われていること全部やってもダメだったんです…』
初めて受診された時、Uさんはこれまでの徒労を一気に吐き出しました。
ガイドラインでは「排便が1週間に3回未満」もしくは「3日以上排便がない」または「毎日排便があっても残便感がある場合」を便秘と定義されています。
Uさんはお薬の助けを借りてギリギリその頻度を保っているようでしたが、およそ2か月に一度のペースでまったく出なくなり受診されます。また、それに伴って右の腰痛が強くなる特徴もあります。
ー 大腸の構造とセルフケア
人間の【腸】のうち、十二指腸から盲腸までを小腸、盲腸から肛門まで大腸と言います。
盲腸から始まった大腸はいったん上へ進みます。そのことからこの部分を【上行結腸】といい、次に右へ曲がります。この部分は【横行結腸】といい、そのまま進むとようやく下へ降りて行きます。この部分は【下行結腸】です。
下行結腸からS字カーブを描いて肛門へ向かっていきますので、この部分は【S状結腸】です。
盲腸→上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→肛門の順に便が運搬されます。
大腸は自らのチカラで動くことができ、それを【ぜん動運動】といいます。運動不足や水分不足、または自律神経が乱れるとぜん動運動が低下して便秘を引き起こします。
特に【便が上の方へ向かう場所】である上行結腸とS状結腸で便が詰まりやすくなります。
鍼灸マッサージでは、
自律神経を整えるツボに加えて
お腹にある【天枢】
(おヘソから指3本分外側)
腰にある【大腸兪】
(腰骨の高さで背骨から2本分外側)
手の甲にある【合谷】
(親指と人差し指の交わる所)
足の裏にある【湧泉】
(土踏まずの上の方で、少しくぼんだところ)
というツボを用いて改善を図ります。大腸兪は少し難しいかも知れませんが、それ以外はセルフケアがしやすいので【気持ちいい程度】のマッサージをトライしてみてください。
Uさんの話に戻ります。
彼女も有名な鍼灸治療院で治療を受けてきたそうですが、その間も浣腸が欠かせなかったそうです。
便秘薬も効かない。
ツボ治療も効かない。
さて、どうしましょう。
私とUさんが選んだ答えは…
とにかくお腹を揉む、でした。
ー ぜん動運動を助ける〇〇
何らかの原因でぜん動運動が弱くなった場合、大腸そのものを手助けしないといけません。その代表例が便秘薬であり【のの字マッサージ】やツボ治療です。
それに加えてもう一つ、大腸のぜん動運動を助けているモノがあります。
それは【腹膜∶ふくまく】です。
腹膜はお腹にある内臓のほとんどを包み込んでいる膜で、広げると人間をスッポリ覆えるほどの大きさになります。
腹膜の役割は主に2つ。
ウィルスやばい菌から内臓を守り、自らもウニウニと運動しながら胃や大腸のぜん動運動を助ける働きがあります。
Uさんの便秘は腹膜の動きが悪いことも影響しているのではないか……。
その考えを基にお腹全体のマッサージを行ったところ、すぐにグリュリュリュ〜と音を立てて動き出しました。
その日の夜には【杉崎さん、ガッツリ出ました】と喜びの連絡が。
加えて右腰の痛みも改善したと喜ばれていました。
このエピソードから以下の見解を立ててみます。
もともとUさんは大腸のぜん動運動が弱く、お薬と腹膜の力で何とかお通時をキープしているものの、腹膜のウニウニ運動が弱くなると便が止まる。
また、便が溜まっている場所が上行結腸と横行結腸のつなぎ目と解釈すれば右の腰痛も説明がつきますので、右のアバラ骨あたりを入念にマッサージしました。
腹膜全体を動かすように揉む。
大腸と腹膜を引っぺがすように揉む。
およそ【のの字マッサージ】という優しいモノとは正反対の、強い揉み方です。
この方法が便秘治療のスタンダードとかけ離れたモノであることは重々承知しています。
ただ、どれだけ非常識であろうと、どれだけ論理的に説明されようと、私は【いま出る】ことを優先するでしょう。
それがUさんの願いだからです。
むろん、Uさんにはこれまで通りセルフケアを続けて頂き、いざとなったらすぐに受診するようお伝えしています。
腹膜の動きにフォーカスする。
いわゆる【一般的な治療】で治らない便秘にお悩みの方がいらしたら、ぜひ参考にされてみてください。
ご精読ありがとうございました。
杉崎とも江マッサージ・はり灸治療室
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東京都多摩市落合1-6-2
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