オーバーユースによる腕の痺れ
- 杉崎とも江マッサージ・はり灸治療室
- 2024年11月15日
- 読了時間: 6分
更新日:6 日前
こんばんわ。
京王・小田急多摩センター駅から徒歩2分のビルで鍼灸マッサージ院を開業している杉崎とも江治療室 副院長の杉崎 徹です。
今回は、お仕事で腕を酷使している方、育児で抱っこが欠かせない方などの方へ何かしらヒントになるかもしれません、という症例をご紹介したいと思います。
ー『私はこの店と結婚する』
と言い切って家業を継がれた
40代女性 Nさん
『そんなことは言ってませんよー、どうせ潰れるなら私がやり切ってから潰します!って父に言ったんですよ』と笑顔で返してくれたNさん。
私はずいぶん長いこと先代に騙されていたようですが😅そんなことはさておきましょう。
バトンを受け継いでから10年。
事あるごとに先代と比較され、未曾有のコロナ禍を乗り切るべく一心不乱に働き続けたNさんは、ようやく軌道に乗ってきた頃から急激に疲れが抜けなくなってきたそうで。
整形外科はもちろん、近所のリラクゼーションや整体院を利用しても改善せず、とくに左腕の痺れはますますヒドくなるばかり。
そんな窮状を知った先代から『杉崎さんに行け』と諭されたNさんは『お父さん、昔から杉崎さんて言ってたけど、他とナニか違うのかなぁ…』と半信半疑でご来室されたそうです。
ー 問診
毎朝8時の準備から始まり、22時まで営業してからの後片付け、休みは週1回。
スタッフの協力を得ながらも主たるNさんが休む理由にはいきません。
そんな生活が10年です。
疲れていないわけがありません。
症状は左腕の痺れにとどまらず。
足のむくみ、腰が重だるい、背中を柱にゴリゴリ押し付けるなど枚挙にいとまがなく、オーバーワークが原因なのは明らかでした。
後継者というプレッシャーや経営難を乗り越えたNさんの心はきっと【一息ついた】のでしょう。
そのタイミングで溜め込んだ疲れが一気に噴出したと考えると合点がつきます。
ー 考察
いくら私がオーバーワークを指摘したところでNさんの忙しさは変わりません。
また、どんなに偏っていると分かっていても、そうせざる得ない所作やパターンは誰にでもあります。
〝キーボードがココ、マウスがココ〝
〝右手でハンドルを握り、左耳で電話〟
それに対して、
〝キーボードとマウスを逆に〟
〝左手でハンドルを、右耳で電話〟
Nさんに、
〝左腕の痺れの原因はフライパンのせいだから右手で振りましょう〟といったところで解決策になるのでしょうか?
その方がよほどストレスです。
今ある現状を変えることが出来ず、その仕事を続ける限り避けられない習慣(クセ)があるとしたら、いかに症状を維持・管理するかが現実目標でしょう。
ー 治療方針
お仕事柄、
Nさんの腕の労働量はハンパではありません。前かがみで大量の食材を刻み、数百人分用の小麦粉を練る。
そして毎日毎日、何百回も中華鍋を振るう。
また、わずか数メートルの厨房を1日10時間以上歩き回り、休憩も丸椅子に腰掛ける程度らしいので足腰に疲労が溜まるのも頷けます。
その中で、
最もツラいと仰っていたのは
【左首から腕のコリと痺れ】
お皿やコップをポロッと落とすことが増えたと仰っていました。
私はNさんに、何が出来るのか。
休めない方に休みを促し、悪いクセを指摘して、全体的なバランスと称して骨盤にアプローチし、首と腕と腰と足を治療する……。
そんなことをしていたらゆうに3時間は掛かりますし、治療期間は1年じゃききません。
【トータルバランス】
【全身の調整】
という理屈は、
単なる机上の空論に過ぎません。
Nさんは今、何を求めているのか。
言うまでもなく、左腕の改善です。
Nさんの症状は、
これまで度々ご紹介してきた【頸肩腕症候群∶けいけんわん‐しょうこうぐん】ですが、彼女の場合はさらにプラスアルファがあります。
それは、腕のオーバーユースが首にまで及んでいるという点。
もっと分かりやすく言いますと、
【首発信の痛み】と【腕発信の痛み】が
混在しているということです。

この状態で、
首の治療に重きを置くことも、
腕の治療に重きを置くことも不正解てす。
正解は、
どちらにも重きを置く。
それを治療方針の軸としました。
ー 治療
首から腕全体を治療ターゲットにするのはもちろんですが、特に重要なのが【腕の付け根】です。

この場所は、
背中の筋肉と腕の筋肉が折り重なるように交錯しているので、どちらかにトラブルが起きるとお互いの動きに影響する特徴があります。
端的に、
肩周りが凝ると腕に症状が及ぶ
ということです。

ー セルフケア
首や肩のストレッチは確かに重要ですが、Nさんのように腕に強い負荷が掛かるお仕事をされている方は、ストレッチだけでは改善が実感出来ない方が少なくありません。
そうした場合にオススメなのが
【腕にお座り】
(ネーミングのセンスが乏しくてすいません)

体重を掛けて腕を圧迫します

徐々に手首まで下がります
ダイニングの椅子やソファなど柔らかい素材の上で行うのがベターですが、畳やじゅうたんの上でも構いません。完治とはいきませんがその場で痺れが軽減されるのでとても効果的です。
Nさんには、
①時や場所を選ばず
②出来る時に好きなだけ
③回数や頻度を問わず
このケアを行って頂きました。
ー 経過
年末の繁忙期までに何とか治れば…
とNさんは思っていたようですが、
週1回・全5回の治療で腕の痺れはほとんど鎮静しました。
Nさんとはストレッチと併せて①〜③のケアを続けることを約束し、痺れが始まったらすぐに受診するようお願いして通院は終わりました。
私がまだ駆け出しだった頃。
先代であるお父様は、
私の治療を率先して受け続けてくれました。とも江院長よりはるかに技術が劣り、ただ力任せにマッサージする未熟な私に、です。
そんな私を、
先代はずっと
【トオル君頑張りなよ】
【どんどん上手になってきたね】と
励まして下さいました。
喜寿を過ぎた先代は今、
数多の持病を抱えながらも田舎暮らしを送っているそうです。
私が、Nさんに出来ること。
しなければいけないことは。
先代から頂いたご恩を
Nさんにお返しする。
それがちょっとだけ達成出来ました。
先代は、
多摩市内でも指折りの働き者としと有名な方でしたが、どうやらNさんもその遺伝子をしっかり受け継いだようです。
そんなNさんへ、
メンテナンスと称して月イチ程度の受診を促すのも正解かも知れませんが、こうしたタイプの方は【ツラくなったらすぐ杉崎さん】の方が向いている傾向があります。
先代も、
ツラくなってからしか来なかったので、やむを得ません😅
次の受診は、
私ではなく患者さんが決める。
これが、当室の基本理念です。
ご精読ありがとうございました。
杉崎とも江マッサージ・はり灸治療室
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(受付は午前8時30から)
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